老後資金の準備に際しての注意点

老後資金は、家族が現金化できるように!

弁護士の松田道佐です。前回、「終活」を①自分の人生の幕引き、②大切な人への引継ぎ、という切り口から見てみることをお話ししました。

そして、①の例として、老後資金を用意しておくことをお話ししました。

今回は、老後資金を用意しておくにあたっての注意点を挙げたいと思います。

 

 

老後に必要なのは「現金」

老後必要なのは日常生活を送るための住居費や食費、医療費などの現金です。
老後資産として蓄えたものは、最終的には現金化する必要があります。

老後資産をすぐに現金化できないときがある

実際にあった例です。何年か前より相談者は高齢の父から頼まれて、銀行口座の通帳とカードを管理してその通帳から父の生活費などを支出するようになりましたが、その中に定期預金がありました。相談者は、普通預金よりも利息が付くと思い、定期預金のままにしていました。

ところが、父が認知症となって銀行の窓口で定期預金の解約手続きをすることができなくなったため、定期預金を解約することができなくなってしまいました。

相談者は「父から預金の管理を頼まれたときに定期預金を普通預金に預け替えておけばよかった」と後悔していましたが、後の祭りです。

このケースで定期預金を解約するためには家庭裁判所に成年後見人の選任を申請し、成年後見人を選任してもらう必要があります。

※成年後見人については、またの機会にお話ししたいと思います。

老後資産は家族が現金化できるようにしておく

既に述べた定期預金の他、土地建物といった不動産や株式、投資信託などの資産は、現金化するためには、名義人が所定の手続きをする必要があります。

そのため、認知症その他の病気や事故などにより所定の手続きができなくなると、自分で老後資産を現金化することができなくなってしまいます。

それ故、老後資産は自分だけではなく家族も現金化できるようにしておく必要があるのです。

老後資産を家族が現金化できるようにするためには

一番単純なのは、自分で資産を現金化して普通預金に預け入れておく方法です。

その他の方法としては、任意後見契約と民事信託契約が挙げられます。

次回、任意後見契約と民事信託契約についてお話ししたいと思います。

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この記事を書いた人

松田道佐
松田道佐
弁護士。1998年(平成10年)4月に弁護士となり、個人、会社から様々な依頼を受けてきた。現在、個人については終活を踏まえた「任意後見」「民事信託」「遺言」等の財産管理業務や遺産分割に重点を置いて活動中。