「人生の幕引き」と「大切な人への引き継ぎ」

遺された人が困らないように生前に必要な手当て

弁護士 終活サポート ワンモア

はじめまして、弁護士の松田道佐(みちすけ)と申します。1998年(平成10年)4月から22年、横浜で弁護士をしています。

弁護士になって、さまざまな案件の依頼がありました。個人の方からのご依頼ですと、例えば交通事故に遭ったとか、会社を解雇されたとか、借金が膨れ上がって払いきれないなどさまざまですが、財産管理の主要な相談事例には大きく分けてふたつのパターンがあることに気が付きました。

一つは、亡くなった配偶者や親が生前に必要な手当てをしておかなかったがために、遺された方が困ってしまう、というパターンです。こうしておけば、遺された人は困らずに済んだのに、と思わざるを得ません。

また、子どもに迷惑をかけたくないので、心身とも元気なうちに自分自身の手で整理をしておきたい、というパターンです。子どものために、面倒なことから逃げず真正面から向き合って解決していこうとする姿勢には本当に頭が下がります。

主に財産管理を主要課題として取り組んでいますが、遺された人が困らないように生前に必要な手当てをしておくこと、これも終活ではないかと思うようになり、このことがきっかけとなって終活チームに関わるようになりました。

これから私が実際に体験した事例も踏まえて、終活をテーマにお話しをしたいと思います。

 

「人生の幕引き」と「大切な人への引き継ぎ」

「終活」の内容に決まりはありませんが、ここでは、①自分の人生の幕引き、②大切な人への引継ぎ、という切り口から見てみましょう。
自分の人生の幕引きは「人生の終わりを思いどおりに迎えるための終活」です。

家族はもちろんのこと、他人に迷惑をかけずに最期を迎えられるよう、例えば老後の資金を用意しておくことが挙げられます。

なお、老後の資金ですが、自分だけではなく家族でも現金化できる形にして保管しておくことがとても重要です。

大切な人への引継ぎは「自分亡き後、大切な人が安心して幸せに暮らせるようにしておくための終活」です。

例えば、自分の財産がスムーズに引継げるように準備をしておくこと、「ヤヤコシイ」ことを自分の手で整理、処分しておくことなどが挙げられます。
大切な人への引継ぎの準備は後回しにしがちですが、きちんと準備をしておかないと、残された人が困ったり苦労したりすることがあります。

「終活」というと難しいことのように感じるかもしれませんが、将来に思いを馳せ「こうあって欲しい」、「こうあっては欲しくない」といった思いを挙げ、この思いを実現するため、「今のうちにやっておきたいこと、できることは何か?」を考えてみませんか?

 

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この記事を書いた人

松田道佐
松田道佐
弁護士。1998年(平成10年)4月に弁護士となり、個人、会社から様々な依頼を受けてきた。現在、個人については終活を踏まえた「任意後見」「民事信託」「遺言」等の財産管理業務や遺産分割に重点を置いて活動中。