【メディア掲載】終活カウンセラーが考えるシニア世代の男女共同参画と相互尊重
【TOPICS】下野新聞『ジェンダー特集』で取材掲載されました
少し前になりますが、2023年10/16付の下野新聞ジェンダー特集で取材対応し、記事掲載されました。
シニア夫婦にとって、互いの不安事は「夫の家事」。共通の課題ならば、将来に向けて共有すべきリスクと言い換えることもできます。
家事分担を巡って争うといったアプローチでなく、共有するリスク(=おひとりさまになった夫の家事問題)を一緒に解決するよう足並みをそろえるという意識が必要だと考えています。
この件は、追ってまた取り上げる予定です。
終活講座でもよくお話しているのですが、男女の行動や意識、考え方は個人の生活環境や社会的な役割の違いにより大きな影響を受けていると考えています。そのため、世代によってもそういった意識に違いがあるのですが、特に現在のシニア世代は伝統的で社会的な役割の違いから強い影響を受けていると言えるでしょう。端的に言えば「男性は外で働き、女性は家を守る」といった時代のロールモデルです。
男性と女性の間で、家事や終活に対するアプローチに関しては顕著な違いが見られます。家事に関しては、男性(夫)の中には依然として家事を女性(妻)に委ねる傾向が見受けられ、その結果、家事全般に苦手意識を持つ人が多く見受けられます。また、終活講座の参加者の大半が女性である一方、男性は消極的な姿勢を示すことが多いです。この現象の背後には、終活が家事=妻の役割の延長であると捉えられているのもあるかもしれません。
目標とすべきは、対立ではなく相互の理解と尊重
女性は家庭や子育てなど多岐にわたる責任を担うことが多く、その結果、家事や介護の負担が増える傾向があります。さらに、男性に比べて経済的に自立するのが難しい、不利な状況に置かれていることも多いです。熟年離婚が増加している中で、夫側と妻側の双方にデメリットやリスクが存在することを考慮する必要があります。
私たちの目標とすべきは、対立ではなく相互の理解と尊重を大切にすることです。
後述しますが、これは男女間だけでなく近年顕著になっている世代間の対立や分断にも当てはまります。対立の根本には、パラダイムの違いがあることが多く、世代間の対立・分断も相互理解を通じて解消へと導かれる可能性があります。
相互理解を深めるには、共同で何かを達成する体験が効果的
相互理解を深めるには、共同で何かを達成する体験が効果的です。例えば、夫婦でキャンプやバーベキューをすることで、役割分担や協力体制の重要性を体感することができます。キャンプでは買い出しから設営、火起こし・調理、洗い物、後片付けまで、役割分担のなかで密集したスケジュールの中で家事に取り組む事柄が多く、楽しむためには協力体制が不可欠です。
できれば、「(普段の生活のように)料理は妻にお任せ」というのではなく、一品だけでもよいから夫が作ってみる。「テントの設営は夫にお任せ」ではなく、妻も一緒にペグ(テントを固定する金具)打ちに挑戦してみるといったことが大切です。料理やテントの設営など、共同での作業を通じて、お互いの長所と短所を再確認する絶好の機会となるでしょう。非日常の空間で、役割分担も比較的スムーズにできるかもしれません。
私事ですが、学生時代から社会人まで数年間にわたってひとり暮らしを経験し、身の回りのことはひと通りこなせるようになりました。そういった経験の有無もスキルだけではなくパラダイムに影響します。もし経験がなければ、これから意識して経験してゆけば良いと思います。
ちなみに我が家は共稼ぎなので家事は分担していますが、普段は妻が料理を担当し、私は洗い物を担当することが多いです。私も料理は好きですが、妻のほうが帰宅時間も早く、手際もよく上手ですから。それでも、休日や時間のあるときは私も料理を作ります。喜んでくれたら私も嬉しいし、少しは助けにもなるでしょう。
人生は効率や成果だけで評価されるものではありません。自ら料理を担当することで、相手の能力を再評価し、敬意を深めることができます。私たちが当たり前のように過ごしている日常も、実は互いに支え合うことで成り立っているのです。
夫婦間での役割分担が固定化されている場合、特にシニア世代においては突然の病気や介護などで困難が生じることがあります。そういったリスクを排除し、より良い関係を築くためには、日々の生活の中に少しずつ変化を取り入れることが大切です。週に一度だけ夫が料理を担当するなど、「小さな改革」から始めてみることをお勧めします。そのことで生じた変化が家庭に喜びをもたらし、今後の生活を新鮮でより豊かなものにしてくれると思います。
夫婦間での申し送りやメッセージも大切に
また、エンディングノートをはじめ終活の申し送り事項は一般に「親から子、孫へ」という風にイメージされているようですが、夫婦間での申し送りやメッセージも重要です。ここでも男女の意識の違いがみられて、男性は終活を「夫婦で」するものと捉えている傾向が強く、女性はその点「個人で」と捉えている傾向がみられます。実際、終活講座にお越しになった女性から「(夫は)代わりに聞いてこいや」と言って今日は来なかった、といった話をしばしば伺います。
しかし、仲の良い夫婦でもこの世を旅立つときは別々です。お互い独立した人格であることを念頭に置いて、それぞれがのこされたときに困らないようケアしていくことも大切な終活です。そう考えると、終活における男女共同参画は「個の尊重」ということに行き着くと言えるでしょう。
世代間の対立もパラダイムの問題
そして、男女共同参画と同様に、世代間の対立も交流によって解消される可能性があります。世代間格差に注目が集まり、若者にとっていまのシニア世代は社会保障が手厚く不公平にみえるかもしれませんが、若い世代が体験しなかった欠乏、貧困、不自由といった時代を多くの方が生きてこられたのも事実です。一方で、シニア世代も若者の困窮の実態や閉塞感漂ういまの社会情勢を十分に理解しているとは言えないと思われます。これも、パラダイムの問題です。
「終活」という言葉がなかった時代に永六輔さんが著した『大往生』(1994年の大ベストセラー)という本の中で紹介されている有名な言葉をご紹介したいと思います。浄土真宗の信徒の言葉として伝わり、犬山の寺の掲示板から永六輔氏が書き写したものです。
“子供叱るな来た道だもの、年寄り笑うな行く道だもの、来た道行く道二人旅、これから通る今日の道、通り直しのできぬ道”
私は終活カウンセラーとして、こうした世代間のギャップを調整することも念頭に置きながら、終活支援を通じてより豊かな社会を実現するお手伝いをしていきたいと考えています。
この記事を書いた人
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終活サポート ワンモア 主宰 兼 栃木支部長。立教大学卒。写真家として生前遺影やビデオレター、デジタル終活の普及に努める傍ら、終活カウンセラーとして終活相談及びエンディングノート作成支援に注力しています。
また、「ミドル世代からのとちぎ終活倶楽部」と題し「遺言」「相続」「資産形成」といった終活講座から「ウォーキング」「薬膳」「写経」「脳トレ」「筋トレ」「コグニサイズ」などのカルチャー教室、「生前遺影撮影会」「山歩き」「キャンプ」といったイベントまで幅広いテーマの講座を企画開催。
こころ豊かなシニアライフとコミュニティ作りを大切に、終活支援に取り組んでいます。
終活カウンセラー1級
エンディングノートセミナー講師養成講座修了(終活カウンセラー協会®)
ITパスポート
フォトマスターEX
終活相談・講座のご依頼はお問い合わせフォームからお願いします。
- 近況 -
・5/14(火) 塩谷町主催の市民後見人普及啓発イベントにて『エンディングノートの書き方講座』を担当しました
・5/19(日) とちぎ終活倶楽部にて『ヨガ&滝めぐりでパワーチャージの霧降高原ハイキング(日光市)』を開催しました
・7~8月『栃木県シルバー人材センター連合会』様主催イベントにて栃木県北・県央・県南の3エリアで終活講座を担当しました(協力:栃木リビング新聞社)
・9~11月 上三川いきいきプラザにて終活講座を企画開催しました
・11/14(木) 宇都宮市のご依頼で終活講座を開催しました
・12月 リビングカルチャーにて終活講座を担当しました
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・終活相続ナビに取材掲載されました
・下野新聞に取材記事が特集掲載されました
・リビングとちぎに取材記事が一面掲載されました
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