終活の”適齢期”は人それぞれ。20代から年代別に見る“安心の準備”
― 各世代がいま考えておきたい「終活」のかたち ―
終活講座や終活相談でよく訊かれるのが、
「終活って、いつから始めるものですか?」という質問です。
この問いには、実は正解がありません。
けれど、ひとつだけ言えるのは――
「終活は、人生を整えるための行動」であり、
“死に支度”ではなく、“よりよく生きるための準備”だということです。
つまり、どの年代にもその人なりの“今できる終活”があります。
ここでは、70代以降から20代まで、人生のステージごとに大切にしたいことをたどってみましょう。
🌻【70代以降】安心して暮らし、心豊かに生きるために
この年代に必要なのは、“無理をしない安心”と“感謝をもって生きる心”です。
住まいの安心:転倒防止やバリアフリー化で安全を確保
医療と介護の選択:かかりつけ医やケアマネージャーと信頼関係を築く
思いを伝える:エンディングノートに、自分の言葉で気持ちを残す
心の整え方:「してもらったこと」「支えてくれた人」への感謝を言葉にする
つながりを保つ:地域活動や友人とのお茶の時間など、社会との接点を絶やさない
人生の最終章は、“手放すこと”と“受け取ること”が共にある時間です。
感謝を伝えることが、周囲の人への最高の贈り物になります。
🌾【60代】「これからの人生」を再定義する時期
「退職」や「子育ての終わり」が見えてくる60代。
ようやく“自分の時間”を取り戻しながら、今後の生き方を考えるチャンスでもあります。
年金・医療制度の理解:暮らしの安心を確保する基本
身の回りの整理:家財や写真、デジタルデータを少しずつ整える
終活の実践:葬儀やお墓、遺言など、家族を困らせない準備を
社会との関わり:地域活動、学び直し、ボランティアで生きがいを再発見
健康管理:無理のない運動と食生活で“自立した生活”を保つ
「まだ早い」と思う人ほど、いざというときに困るのがこの時期。
“備えることで、より自由になれる”のが60代の終活です。
🌸【50代】これからの生き方を形にする時期
50代は、仕事でも家庭でも責任が重くのしかかる時期。
だからこそ、自分の人生をもう一度見つめ直す時間を持ちましょう。
退職後の設計図を描く:再雇用・起業・ボランティアなど、自分に合う働き方を模索
親の終活への寄り添い:介護や相続の準備を、家族で共有する
自分の想いを整理:エンディングノートや写真、自分史を通じて“生きた証”を形に
健康維持:心身のバランスを取り戻し、第二の青春を楽しむ
「何を残すか」ではなく、「どう生きるか」を問うのがこの世代の終活。
人生の主役は、いつだって自分です。
🌿【40代】人生の折り返しで立ち止まる時期
仕事も家庭も安定しているようで、実は迷いの多い年代です。
ここで立ち止まり、自分の“これから”を見つめ直すことが大切です。
キャリアの再設計:自分の強みを生かす働き方を考える
健康診断・がん検診:体のサインを見逃さない
親との関わり:介護や実家の整理など、少しずつ意識を向ける
人とのつながり:家庭以外にも心の拠り所をつくる
40代の終活は、「点検」と「選択」。
やりたいことを後回しにしない勇気が、未来を変えます。
🌿【30代】未来に向けた基盤づくりの時期
仕事、結婚、子育て……
さまざまな選択に追われる30代こそ、将来の安心を見据えた終活の入り口です。
保険と貯蓄:家族ができたらリスク管理を
資産形成:NISAやiDeCoなど長期的な仕組みを活用
ライフプランの共有:夫婦で“お金と生き方”を話し合う
健康習慣の定着:ストレスケアと運動を意識的に
人とのつながり:地域や友人との関係を大切に育てる
この時期に身につけた「整える習慣」は、一生の財産になります。
🌱【20代】自分の生き方を見つける時期
まだ「終活」なんてピンとこない年代かもしれません。
けれど、“人生を自分で選ぶ力”を育てることが、実は最初の終活です。
お金の知識:貯蓄・保険・税金など、暮らしの基礎を学ぶ
学びと経験:資格よりも“自分の軸”を育てる学びを
人間関係:信頼できる仲間を持つことが心の支えに
健康の習慣化:体を大切にすることが未来への投資
「いつか」ではなく、「今から」。
20代の終活は、“自分の人生をどう生きたいか”を描くことから始まります。
エンディングノートは“終わり”ではなく、“これから”を書くノート
いつ終活を始めるかは人それぞれですが、何をきっかけにどのタイミングで終活を始めるにせよ、エンディングノートを活用することをお勧めしています。
エンディングノートというと「亡くなった後のための記録」と思われがちですが、実は生きている“今”を見つめ直すための羅針盤でもあります。
事実、エンディングノートには人生のほとんどすべてが詰まっているのです。
自分が大切にしてきたこと、これからやりたいこと、感謝を伝えたい人──それらを言葉にする過程が、人生を整理し、次の一歩を照らしてくれます。
まずは人生を導く一冊のノートを、開くことから始めてみませんか。
<参考記事>
エンディングノートを通して考えた、「書」を通してできる私の終活支援
🌟あなたにとっての“終活適齢期”を見つけよう
ここで紹介したのは、あくまで目安です。
実際の「終活適齢期」は人によって違います。
たとえば、身寄りのないおひとりさまなら、他の人より10年早く始めることをお勧めしています。
逆に、家族や地域の支えが厚い人なら、焦らずゆっくり進めても構いません。
大切なのは、「今の自分にできることから始める」こと。
終活は、人生を安心して楽しむための“生きる準備”です。
あなたにとっての“終活のタイミング”が、
今日という日から始まりますように。
この記事を書いた人

- 終活カウンセラー1級 写真家・フォトマスターEX
-
終活サポート ワンモア 主宰 兼 栃木支部長。立教大学卒。写真家として生前遺影やビデオレター、デジタル終活の普及に努める傍ら、終活カウンセラーとして終活相談及びエンディングノート作成支援に注力しています。
また、「ミドル世代からのとちぎ終活倶楽部」と題し「遺言」「相続」「資産形成」といった終活講座から「ウォーキング」「薬膳」「写経」「脳トレ」「筋トレ」「コグニサイズ」などのカルチャー教室、「生前遺影撮影会」「山歩き」「キャンプ」といったイベントまで幅広いテーマの講座を企画開催。
こころ豊かなシニアライフとコミュニティ作りを大切に、終活支援に取り組んでいます。栃木県宇都宮市在住。日光市出身。
終活カウンセラー1級
エンディングノートセミナー講師養成講座修了(終活カウンセラー協会®)
ITパスポート
フォトマスターEX
- 近況 -
・「JAこすもす佐野」「栃木県シルバー人材センター連合会」「宇都宮市立東図書館」「塩谷町役場」「上三川いきいきプラザ」「JAしおのや」「真岡市役所」「とちのき鶴田様」「とちのき上戸祭様」「栃木リビング新聞社」「グッドライフ住吉」にて終活講座を開催しました
・JAこすもす佐野にて生前遺影撮影会を開催します
終活相談・講座のご依頼はお問い合わせフォームからお願いします。
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・終活相続ナビに取材掲載されました
・下野新聞に取材記事が特集掲載されました(ジェンダー特集)
・リビングとちぎに取材記事が一面掲載されました(デジタル終活)
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