「死」というタブーから共に『人生100年時代』を考える…お勧めしたい終活本

終活サポート ワンモア代表の今井です。『人生100年時代』ということが言われるようになって実はまだそう長くもないのですが、このキーワードはすっかり世の中に浸透・定着した感があります。

ただ、最近気になっているのは長寿が、とりわけ終活が「リスク」を中心に理解されているのではないかということです。確かに『老後2000万円問題』や『争族』、年金・健康保険・医療といった問題に象徴されるように、超高齢化にはさまざまな課題が存在し、それは私たち一人ひとりにとっても自覚し、備えなければならないものになっています。

日本は2007年に超高齢社会(65歳以上の人口が21%超)に突入しており、2025年には約30%、2060年には約40%に達すると見られています。社会変動に伴う変革は待ったなしの状況です。

一方で、私たちの暮らしは法律や経済のためだけに存在しているのではありません。豊かな暮らしは金銭や社会保障によってのみ支えられるものではなく、こころの充実あってこそなのは言うまでもないことです。

 

私はそのことを念頭に置いてこの終活サポート ワンモアに関わってきました。老いても心身を鍛錬し、きちんと情報収集し生き方を考えることで、私たちはもっと豊かに暮らすことができるのです。

今回は人生100年時代を考えるのにお勧めしたい本をご紹介します。いずれも私たちがこれまでの終活セミナーでご紹介してきた本です。

 

『大往生』(永六輔著)…終活本の先駆けとなった大ベストセラー

大往生(永六輔) 岩波新書大往生 永六輔著 岩波新書

「人はみな必ず死ぬ。死なないわけにはいかない。それなら、人間らしい死を迎えるために、深刻ぶらずに、もっと気楽に「老い」「病い」,そして「死」を語りあおう」

「上を向いて歩こう」「見上げてごらん夜の星を」などの名曲の作詞で知られる著者が、全国津々浦々で聞き集めた有名無名問わず多くのお年寄りの言葉を紹介しつつ、死生観を書き記しています。

「福祉より薬が生んだ長寿国」「子供叱るな来た道だ老人笑うな行く道だ」「病院か在宅じゃありません、誰に看取られて死ぬかです」

ユーモアに交えてはっとするような真理が軽妙な語り口の中に見え隠れします。

1994年に刊行され、200万部を超える大ベストセラーとなりました。癌の告知についてを再三社会的課題として取り上げるなど時代性を感じるところもありますが、この1994年という年は「高齢社会」(65歳以上の人口が14%超)に突入した年でもあり、まさに終活本の先駆けといった存在で、今読んでも古くない内容になっています。

永六輔氏本人も2016年、担当医師いわく「死因は肺炎だが、老衰と言って良い状況」で大往生をとげています。

 

『死ぬときに後悔すること25』(大津秀一著)…ホスピス医の見つめた人生の終焉

死ぬときに後悔すること25(大津秀一)死ぬときに後悔すること25 大津秀一著 致知出版社

終末期医療の専門家である著者が、1000人を越す患者たちの吐露した「やり残したこと」を25に集約して紹介しています。

  1. たばこを止めなかったこと
  2. 感情に振り回された一生を過ごしたこと
  3. 遺産をどうするか決めなかったこと
  4. 故郷に帰らなかったこと
  5. 仕事ばかりで趣味に時間を割かなかったこと
  6. 会いたい人に会っておかなかったこと 以下、25まで

後悔しないための人生訓ではなく、死ぬときに後悔すること。その語り口は思いのほか文学的な格調をもって綴られており、引き込まれるように読んでしまいます。

その文学的な匂いは、死と向き合ってきた著者の内面から生じる切実な想いからくるのかもしれません。

 

『死ぬことと生きること』(土門拳著)…遺影写真は人生の尊厳

死ぬことと生きること(土門拳)死ぬことと生きること』 土門拳著

昭和の大写真家、土門拳によるエッセイ集。写真哲学や人生論がテンポよくユーモラスに綴られていて、写真愛好家でなくても面白く読める本だと思います。

学生写真に打ち込んでいた頃出会った本で、このなかにある一節に触れ、私は写真の道にのめり込みました。

「肖像写真を遺すということはその人がどんな風に生きてきたかをあらわすということであり、その人の人格を尊重し、人生の尊厳や生きた証となるものである」「そのことは人間尊重にも通じるものである」(※いずれも私の要約です)

 

若い頃は自分が大勢の遺影写真を撮影することになるとは想像すらしませんでしたが、まさに遺影写真は自分自身の死に際し、その人の人生を象徴する証なのだと思います。

 

メメント・モリ、そしてコロナ禍の架け橋に

最後に写真の本をご紹介しましたが、私が写真を愛してやまないのは写真は人々の心の架け橋になるからです。そして、時代を超えて生き続けるからです。

私たちがお役に立てる場面も実際に多くあります。2020年からイベントの中止が相次ぎ、活動の停滞を余儀なくされていますが、いまももっと広くお役立ちしたいと思っています。

 

今回ご紹介した本はいずれも「死」というタブーに触れています。しかし、死をみつめることで私たちの胸にある死への畏れを共にし、そこから生きることの尊さや意味をあらためて共に考える、そんなきっかけになるのではと考えています。

メメント・モリ

メメント・モリ…ラテン語で「死を想え」「自分が(いつか)必ず死ぬことを忘れるな」という警句ですが、古代より生きることをみつめるためには死をみつめなければならないという真理をあらわしていると思います。終活カウンセラー協会は終活を「人生の終焉を考えることを通じて、自分を見つめ、今をより良く自分らしく生きる活動」と定義していますが、これもメメント・モリですね。

 

2020年春、初めての緊急事態宣言以降、生前遺影撮影や遺影写真の修復といったご依頼が増えており、家族・先祖、生と死を見つめ直す、そういった機運がコロナ禍のなかで高まっているのを感じています。

いま、新型コロナウイルスが社会を分断した閉塞感の中にありますが、心の架け橋は私たちの中にあります。この災禍を越えて、雨上がりの虹のようにまたこの先つながっていけたらと願っています。

 

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この記事を書いた人

今井 賢司
今井 賢司フォトグラファー・ビデオグラファー・終活カウンセラー
終活サポート ワンモア 代表 兼栃木支部長。カメラマンとして生前遺影やビデオレター、デジタル終活の普及に努める一方、ウォーキングや音楽教室など文化活動によるシニアライフのお手伝いをしています。