「長生きリスク」とは? 老後の不安に備える終活のすすめ

「長生きしたくない」と言う親の本音

終活講座に参加された方々から、よくこんな言葉を耳にします。

「家族に迷惑をかけたくないから、長生きしたくない」
「もう何もしてくれなくていい」

家族への思いやりのようでいて、そこには“老後の不安”や“孤立感”が隠れています。あるいはどこか投げやりな気分もあるのかもしれません。

特に家族に遠慮して、自分の気持ちや希望を抑えてしまう方も少なくありません。

古来、長寿は人々の願いでした。しかし、近年は「長寿化リスク」などという言葉も生まれています。

時代が変わればいろいろな新語も生まれてくるものですが、いまや長寿は「願い」よりも「リスク」になっているのです。

長寿化の裏側にある「リスク」

老後不安 長寿リスク

医療の進歩と生活環境の向上で、「人生100年時代」が現実のものとなりつつあります。

しかしその分、以下のような不安が長期化・複雑化しています。

  • 認知症や身体機能の低下

  • 介護や医療の長期化

  • 年金だけでは足りない老後資金

  • 住まいの確保と管理

  • 孤独や社会的孤立

これらは「長生きだからこそ直面するリスク」であり、何も備えなければ生活の質を大きく損なう要因になります。

独身者・おひとりさまの老後は、特に計画的に

独身や子どものいない方には、いざという時に頼れる人が限られるため、より明確な準備が必要です。

たとえばこんな準備が大切です:

【お金】

  • 老後に必要な生活費の見積もり

  • 年金の受給額の確認と不足分の補填(貯蓄・投資)

  • 急な医療費や介護費用の備え

【暮らしと健康】

  • 持ち家か賃貸か、将来の住まいを検討

  • バリアフリーや見守りサービスの活用

  • 健康診断・かかりつけ医の確保

  • 健康寿命を意識した生活習慣の見直し

【人間関係とつながり】

  • 地域のサークルや趣味の仲間とのつながり

  • いざという時に相談できる人をリストアップ

  • 孤立を防ぐ定期的な連絡手段の確保

【情報と手続き】

  • エンディングノートや遺言書の作成

  • 各種契約・パスワード・資産の一覧管理

  • 任意後見人・死後事務委任・民事信託(家族信託)などの検討

「何もしなくていい」は家族にとって重荷になることも

親の終活「葬儀もお墓もいらない」と言われても、実際に判断するのは残された家族や親しい人たちです。

その時になって困るのが「希望がわからない」「準備がない」ことです。

「何も望まない」は、実は一番困らせる選択肢であることも知っておきましょう。

事前に情報と希望を共有しておけば、家族も安心して見送ることができます。

終活は「長生きの希望」を育てるもの

終活に取り組む際はエンディングノートの活用を勧めています。私自身、既に2回書き直して今後の人生を考えています。

エンディングノートは人生の計画書です。たとえて言うなら、夏休みの計画表に似ているかもしれません。

行き当たりばったりで日々を過ごすのではなく、自分の希望や理想を思い描きながら生活するほうが人生の質は向上します。

「まだやりたいことがあると気付いた」
「最後まで自分らしく生きたい」「生きた証を残したい」

エンディングノートに取り組んだ方からは、そんな前向きな声が聞かれるようになります。

人生を終える準備ではなく、“人生をよりよく生き切るための準備”――それが終活です。

今日からできる「長生きリスク」への備え

長寿社会を不安でなく希望に変えるために、以下のような一歩を踏み出してみましょう。

  • 小さなこと(書類や写真の整理)から始める

  • 自分の想いや価値観を言葉にして書き留めてみる

  • エンディングノートを手に取ってみる

  • 専門家や仲間と情報を共有してみる

「まだ早い」は、思っている以上に危うい思い込みかもしれません。終活は「あとでやろう」ではなく、その「あと」のことに備えて考え、計画するのが終活です。

備えや計画があることで、長生きする自信や楽しみが芽生え、未来が明るく見えてくるはすです。

終活は誰のためでもない、あなたの大切な人生のことです。いまできること、いまなすべきことは後回しにせず、最初の一歩を踏み出しましょう。


※本記事は、一般的な情報提供を目的としており、個別の状況に対する助言や判断を行うものではありません。実際のご判断に際しては、必ず関係法令や専門家の意見をご参照ください。また、専門家のご紹介もいたしますのでお気軽にご相談ください。

この記事を書いた人

今井 賢司
今井 賢司終活カウンセラー1級 写真家・フォトマスターEX
終活サポート ワンモア 主宰 兼 栃木支部長。立教大学卒。写真家として生前遺影やビデオレター、デジタル終活の普及に努める傍ら、終活カウンセラーとして終活相談及びエンディングノート作成支援に注力しています。

また、「ミドル世代からのとちぎ終活倶楽部」と題し「遺言」「相続」「資産形成」といった終活講座から「ウォーキング」「薬膳」「写経」「脳トレ」「筋トレ」「コグニサイズ」などのカルチャー教室、「生前遺影撮影会」「山歩き」「キャンプ」といったイベントまで幅広いテーマの講座を企画開催。

こころ豊かなシニアライフとコミュニティ作りを大切に、終活支援に取り組んでいます。

終活カウンセラー1級
エンディングノートセミナー講師養成講座修了(終活カウンセラー協会®)
ITパスポート
フォトマスターEX

終活相談・講座のご依頼はお問い合わせフォームからお願いします。

- 近況 -
・栃木県シルバー人材センター連合会にて終活講座を開催しました
・JAしおのや様のご依頼にて終活講座を開催しました
・塩谷町、宇都宮市、真岡市のご依頼にて終活講座を開催しました
・とちのき鶴田様、とちのき上戸祭様、栃木リビング新聞社様にて終活講座を開催しました
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・終活相続ナビに取材掲載されました
・下野新聞に取材記事が特集掲載されました(ジェンダー特集)
・リビングとちぎに取材記事が一面掲載されました(デジタル終活)

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