超高齢社会を「体験」して見えてきたこと ― コミュニティコーピングから考える終活支援
「困っている人を支えるには、どうしたらいいのか」
これは、終活支援に関わっていると、何度も立ち止まって考える問いです。
制度やサービスの説明をしても、なかなか話が進まない。
そもそも「困っている」と言ってもらえない。
そんなもどかしさを感じていたときに知ったのが、
コミュニティコーピングという“体験型のゲーム”でした。
コミュニティコーピングは「考える」ものではなく「体験する」ゲーム
コミュニティコーピングは、考え方や理論を学ぶ講座ではありません。
超高齢社会におけるさまざまな困りごとを、ボードゲームで擬似体験しながら、解決の糸口を探っていくワークです。
ゲームに登場するのは認知症の家族を抱える人やフレイル状態のお年寄り、そして医療・福祉・法律・カウンセリングなどの専門家。
「市民後見人」など一般にはまだ馴染みの薄い存在も描かれます。
そして、このゲームは個人が勝つためのものではなく、参加者同士がうまく協力できなければコミュニティが崩壊し、全員が一斉にゲームオーバーになります。
私たちのテーブルも何度も失敗しましたが、クリア率は1割未満とのことでした。
参加者は、
・困りごとを抱えた当事者役
・支援できる立場の人
・周囲で関わる人
といった役割を通して、
「誰が、どこで、どうつながれば、困りごとは解決に近づくのか」
を体感的に学んでいきます。
頭で理解するのではなく、
実際に“うまくいかない感じ”や“すれ違い”を味わう。
そこに、このゲームの大きな意味があると感じました。
終活サポート ワンモアのメンバーで参加してみた理由
今回、このコミュニティコーピング体験会が開催されると知り、
終活サポート ワンモアのメンバー2名で参加してみることにしました。
理由はシンプルです。
終活相談の現場で、
「これはご本人の問題というより、社会の仕組みの問題では?」
と感じる場面が、あまりにも多かったからです。
・相談先が分からず、時間だけが過ぎていく
・助けを求めること自体に、強い抵抗がある
・本当の困りごとが、言葉にならないまま隠れてしまう
こうした状況を、別の角度から体験してみたい。
その思いが、参加のきっかけでした。
体験して気づいたこと ①困っている人ほど、本音を出せない
ゲームの中で、あらためて痛感したのは、
困っている人は、簡単には困っていると言えないという現実です。
ゲームのなかでは専門家を紹介することで一旦課題は解決してしまうのですが、現実はそうではありません。
参加者の中にも医療福祉に従事する方が多くいらっしゃったので、そういったリアルな感想が最初に飛び出しました。
だからといって、ゲームの設定を否定するのではありません。むしろその逆で、それは大きな気付きでもあるのです。
「迷惑をかけたくない」
「まだ何とかなる」
「これくらいで相談するのは大げさかもしれない」
そうした気持ちが先に立ち、本当の困りごとは後回しにされてしまう。
だからこそ、支援において大切なのは、正しい情報や正解を示すこと以上に、
安心して本音を出せる“場”をつくることなのだと、強く感じたのです。
体験して気づいたこと ②つなぐ役割が、うまく機能していない
もう一つの大きな気づきは、
世の中には解決できる人が大勢いるのに、必要な人とつながっていないということです。
ゲームの中でも、
「この人と、この人が出会えたら、すぐ解決しそうなのに」
という場面が何度もありました。
終活の現場でも、まったく同じことが起きています。
問題は、誰かが冷たいわけでも、能力が足りないわけでもありません。
つなぐ仕組みと役割が弱い。
ただ、それだけなのだと思います。
体験して気づいたこと ③助ける側だった人ほど、動けなくなることがある
私が個人的に印象的だったのは、
本来は解決する力を持っている人が、自分が困った途端に身動きが取れなくなる場面です。
「人に頼るのが苦手」
「今さら助けてとは言えない」
「親の世話が大変で社会に出ていけない」
これは、終活相談でもよく出てくる声です。
支えてきた人ほど、孤立しやすい。
これは個人の性格の問題ではなく、社会の構造の問題なのだと感じました。
体験して気づいたこと ④社会課題の担い手は、専門家だけではない
困りごとに対して、資格や肩書きのある人だけが解決策を持っているわけではありません。
日常の中でのちょっとした声かけや、過去の経験、誰かを気にかける姿勢。
そうした一つひとつが、課題解決の糸口になる場面が、ゲームの中でも何度もありました。
体験して気づいたこと ⑤コミュニティそのものが社会課題解決の鍵
大切なのは、
「誰が正解を持っているか」ではなく、
「困っている人」と「支えられる人」が、ちゃんとつながれるかどうか。
そしてその“つなぎ役”は、特定の誰かに限定されるものではありません。
地域の中の一人ひとり、関わるすべての人が、その役割を担える可能性を持っている。
そう考えたとき、コミュニティそのものが、社会課題解決の鍵なのだと実感しました。
そもそも、うまくいかなかった理由
一方で、体験の中では「もっと早く動けていれば」と感じる場面もありました。
うまくいかなかった最大の要因は、能力や善意の不足ではありません。
それは、お互いに遠慮や摩擦を恐れて、「今やるべきこと」を後回しにしてしまったことでした。
・こんなことを言ったら出しゃばりだと思われるかもしれない
・初対面で空気を乱したくない
・もう少し様子を見たほうがいいのではないか
そうした“日本人らしい配慮”が、結果として困りごとを長引かせてしまう。
終活支援の現場に限らず、私たちの身近なところでも似た構図があるかもしれません。
真の終活支援は「準備」ではなく「つながり」を取り戻すこと
終活支援もまた、専門家がすべてを解決するものではありません。
本当に必要なのは、
・困りごとを抱えている人が声を上げられること
・それを受け止め、次につなげる人がいること
その積み重ねです。
コミュニティコーピングの体験は、終活を「個人の準備」ではなく人と人の関係性の中で支え合う営みとして捉え直す機会になりました。
超高齢社会をどう支え合うか
終活支援は、法的・行政上の何かを書かせることでも、決断を迫ることでもありません。
その人が、誰かとつながり直すための支援なのだと思います。
コミュニティコーピングの体験は、
終活が「個人の課題」ではなく、
超高齢社会をどう支え合うかという、社会全体の問いであることを、実感として教えてくれました。
「困ったときに、困ったと言っていい社会かどうか」
その問いに向き合い続けることも、
私たち終活サポート ワンモアの大切な役割なのだと、あらためて感じています。
コミュニティコーピングについて詳しくはこちらを
みんなで孤立をなくせ!!超高齢社会体験ゲーム コミュニティコーピング
高校大学や医師会など公共機関でも体験会が開催されているそうです。
この記事を書いた人

また、「ミドル世代からのとちぎ終活倶楽部」と題し「遺言」「相続」「資産形成」といった終活講座から「ウォーキング」「薬膳」「写経」「脳トレ」「筋トレ」「コグニサイズ」などのカルチャー教室、「生前遺影撮影会」「山歩き」「キャンプ」といったイベントまで幅広いテーマの講座を企画開催。
こころ豊かなシニアライフとコミュニティ作りを大切に、終活支援に取り組んでいます。栃木県宇都宮市在住。日光市出身。
終活カウンセラー1級
エンディングノートセミナー講師養成講座修了(終活カウンセラー協会®)
ITパスポート
フォトマスターEX
- 近況 -
・「JAこすもす佐野」「栃木県シルバー人材センター連合会」「宇都宮市立東図書館」「塩谷町役場」「上三川いきいきプラザ」「JAしおのや」「真岡市役所」「とちのき鶴田様」「とちのき上戸祭様」「栃木リビング新聞社」「グッドライフ住吉」にて終活講座を開催しました
・JAこすもす佐野にて生前遺影撮影会を開催しました
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・終活相続ナビに取材掲載されました
・下野新聞に取材記事が特集掲載されました(ジェンダー特集)
・リビングとちぎに取材記事が一面掲載されました(デジタル終活)





