お見舞いのマナー完全ガイド|服装・持ち物・快気祝いまで丁寧に解説

年齢とともに増える“見舞う”場面で、思いやりと礼儀を忘れずに

入院 お見舞い年齢を重ねるにつれ、友人や知人、親族の入院や療養の機会が増え、「見舞う立場」になることも多くなります。
同時に、自分自身が病気やケガで「見舞われる側」になることもあります。
そんな時、お互いに心地よい関係を保つためにも、お見舞いのマナーを知っておくことは大切です。

一見、気軽にできるようでいて、実は相手の状況への思いやりや節度が求められる場面でもあります。

本記事では、お見舞いに行く際の基本的なマナーから服装・持ち物・言葉のかけ方、さらには快気祝いのマナーまで、思いやりをもって接するためのポイントをわかりやすく解説します。訪問の可否やタイミング、病院のルール、NG行動など、実例を交えながら丁寧にご紹介します。

 

訪問前の確認が何より大切

お見舞いで最も大切なマナーは、「勝手に行かない」ことです。以下の点を事前に確認しておきましょう。

  • 本人の体調や気持ち(面会を望んでいるか)

  • 家族の意向

  • 病院の面会規定(曜日・時間帯・人数制限)

感染症対策の観点からも、アポイントなしの訪問は避けましょう。

お見舞いにふさわしい服装とは?

お見舞い時の服装は、基本的にシンプルで清潔感のあることを心がけましょう。病室は静かで限られた空間であり、患者さんの心身の状態にも配慮が必要です。

気をつけたいポイント

  • 派手すぎる・露出の多い服装は避ける

  • 香水や整髪料は控える(病室は密閉空間)

  • 靴音のうるさい靴は避ける

  • 喪服のように見える黒一色の服装も避ける(葬儀を連想させ、相手を不安にさせることがあるため)
  • 真っ赤などの強い原色や、動物柄・迷彩柄のような刺激の強いデザインも避ける明るすぎる色や柄は浮いた印象を与え、逆に暗すぎる装いは不吉な連想を招くことがあります。穏やかな色味(ベージュ・ネイビー・グレー・淡いパステル)を選ぶと安心感を与えます。

服装の目安

  • 男性…ジャケット+シャツなど、ビジネスカジュアル程度で清潔感を

  • 女性…スカートやパンツに落ち着いた色味のトップス。露出が少なく、上品で柔らかな印象の装いが理想的

喜ばれるお見舞い品とNGアイテム

喜ばれやすい見舞い品

  • 読みやすい雑誌や文庫本
  • タオル・保湿クリームなどの実用品

  • 病院内で使えるテレビカードやプリペイドカード

  • 日持ちする果物(※飲食物は病状を確認のうえ リンゴ・ミカン・バナナなど)
  • 花(※病院によっては禁止の場合も)

避けたほうがよいもの

  • 匂いの強い花や食品

  • 消化に悪いもの

  • 現金や高価すぎる贈り物

  • 鉢植えの植物(「寝付く」に通じ、縁起が悪いとされる)

ナイフが必要な果物や、糖質制限・アレルギーの確認が必要な食品なども慎重に選びましょう。

コロナ禍で変わった「お見舞い」のかたち

新型コロナウイルス感染症の影響で、面会のあり方も変化しました。
かつては「直接顔を見せる」ことが最大の思いやりとされていましたが、感染予防の観点から面会自体を控えることもまた一つの配慮とされるようになりました。

栃木県:「新型コロナウイルス感染症対策に係る基本的対応方針」(PDF)

オンライン面会の普及

  • タブレットやスマホを使ったビデオ通話が一般的に

  • 事前予約や看護師立ち会いが必要な病院もあるため、事前確認を忘れずに

手紙や差し入れの代行サービス

  • 直接会えない場合でも、病院スタッフが届けてくれるサービスが普及

  • メッセージカードや手紙に気持ちを込めて送るのも一つの選択肢です

    私自身、終末期の父の見舞いでなかなか面会が許されず、父の病状を把握できない不安を感じたことがあります。
    それ以上に、父自身がどれほど心細かっただろうと思うと、いまも胸が痛みます。
    こまめにメールや電話で見舞うことも…時には気休めを口にすることさえ、患者にとっては多少なりとも安心につながると思います。
    また、入院中は心身とも不安定になるもの。面会できるかどうかの事前確認は相手の尊厳を守る意味でも欠かせない配慮です。

見舞いに行けないときの心配り

遠方に住んでいる、病状が不明、コロナの影響などで訪問が難しい場合もあります。
そんなときは、短い電話やメール、手紙やカードでも、十分に気持ちは伝わります。

「負担にならないように」「返信はいりませんよ」などの一言を添えることで、相手の心も和らぎます。

お見舞いのタブーと注意点

「友引」にお見舞いしてはいけない?

「友引」はもともと六曜における一つで、「友を引く」=自分の不幸が友人にも及ぶという意味合いから、葬儀を避ける日とされてきました。

では、お見舞いでも避けるべきなのでしょうか?

実際のところ
  • 医療的・宗教的に明確な根拠はありません。

  • しかしながら、特に高齢者や迷信に敏感な方の間では、縁起を気にする傾向が強く、避けるのが無難とされています。

  • 病気やけがの回復を願う場面で「友引に来たの?」と不快感を持たれる可能性があるため、訪問は六曜を気にしない相手かどうかを考慮するのがマナーです。

その他のタブー

  • 長時間の滞在:患者さんの体調を考慮し、15〜30分以内を目安にしましょう。

  • 一方的な励まし:「頑張って!」がプレッシャーになることもあります。「無理せずね」「少しでも楽になってるといいね」など、相手のペースに合わせた声かけが理想的です。

  • 大人数での訪問:静養の妨げになります。特に子どもを連れて行く場合は、事前に了承を得ること。

  • 香りが強い差し入れ・香水・タバコ臭などもNG。

 

快気祝いのマナーと品物の選び方

「快気祝い(かいきいわい)」は、病気やけがから回復したことを報告し、お見舞いをいただいた方へのお礼として贈るものです。
本来は退院後や回復の目処がついたタイミングで行う、日本独自の慣習です。

快気祝いのポイント

贈るタイミング
  • 退院後〜1か月以内が一般的

  • 通院や自宅療養が続いていても、「日常生活に戻れるようになった」と判断できる時点で贈るのが適切です

表書きの書き方(熨斗)

状況 水引 表書き
完治・全快の場合 紅白の5本蝶結び 「快気祝い」または「御礼」
通院中・療養中など 同上 「御見舞御礼」などが無難

※結び切り(水引が一度結ばれてほどけない)ではなく、蝶結び(何度でも結び直せる)を選ぶことで、「何度あっても良いこと=お礼の気持ち」となります。

快気祝いの品物選び

快気祝いは「病気が残らない=あとに残らない」ことを願って、使えばなくなるもの(消え物)が基本とされています。

◎ 喜ばれる定番品
  • お菓子(焼き菓子・羊羹・ゼリーなど)

  • タオルセットや石鹸などの実用品

  • コーヒー・お茶・調味料の詰め合わせ

  • 商品券やギフトカード(地域によって好まれないことも)

× 避けたいもの
  • 刃物やハサミ(縁を切る)

  • 残るもの(置物・装飾品など)

  • 高価すぎるもの(かえって気を遣わせる)

金額は、いただいたお見舞い品の半額〜3分の1程度が目安です。

よくある質問|迷ったときに役立つ「お見舞いのマナー」Q&A

Q1. お見舞いに行くとき、事前に何を聞けばいいの?

A:本人の希望だけでなく、家族の意向や病院の規定も確認しましょう。
「行っていいかどうか」だけでなく、「いつ・どのくらいの時間なら良いか」「ほかに訪問者がいるか」なども聞いておくと、よりスムーズです。

Q2. お見舞いに行くのが気まずいとき、どうすれば?

A:「行かなきゃ」と無理をせず、手紙やメッセージカードで気持ちを伝えるのも立派なお見舞いです。
関係性や自分の心情、相手の性格を踏まえて無理のない方法を選びましょう。
「いまは会いに行けないけれど、いつも気にかけているよ」と伝えることが大切です。

Q3. 入院中の方にLINEやSNSで連絡するのは失礼?

A:相手がスマホを使える状況かを考慮し、軽い文面で送るとよいでしょう。
文章は短めにし、「返信は気にしないでね」の一言を添えると、負担になりにくくなります。
不安な場合は、ご家族を通じて一言確認してから送るのが安心です。

Q4. 入院先がわからない場合、お見舞いを届けるには?

A:共通の知人や家族に相談し、勝手に送ることは避けましょう。
本人や家族が入院を公表していない場合、プライバシーに配慮する必要があります。
お見舞いの意志があることだけを間接的に伝え、「必要なら連絡を」と待つのも一つの方法です。

Q5. 快気祝いを渡すタイミングを逃したらどうする?

A:1か月以上過ぎても、簡単な品とお礼の言葉を添えて送れば問題ありません。
「遅くなってごめんなさい」と一言添えるだけで、丁寧な印象になります。
形式よりも、感謝の気持ちが伝わることが何より大切です。

「お互いさま」だからこそ、双方の立場を意識して

年齢を重ねるほど、自分が見舞う側にも、見舞われる側にもなります。
その両方を経験するからこそ、思いやりを持ち合いたいものです。

  • 来てくれる人への感謝

  • 無理をさせない気遣い

一方的な励ましではなく、短くても心が通うような会話が、相手の心を支えることがあります。

マナーは「思いやり」のかたち

お見舞いに「こうすべき」という絶対的なルールはありません。
大切なのは、相手の立場に立った思いやりと配慮です。

形式にとらわれるより、
「相手が心地よく感じるか」
「気遣いが届くか」
を意識することこそが、真のマナーではないでしょうか。

この記事を書いた人

今井 賢司
今井 賢司終活カウンセラー1級 写真家・フォトマスターEX
終活サポート ワンモア 主宰 兼 栃木支部長。立教大学卒。写真家として生前遺影やビデオレター、デジタル終活の普及に努める傍ら、終活カウンセラーとして終活相談及びエンディングノート作成支援に注力しています。

また、「ミドル世代からのとちぎ終活倶楽部」と題し「遺言」「相続」「資産形成」といった終活講座から「ウォーキング」「薬膳」「写経」「脳トレ」「筋トレ」「コグニサイズ」などのカルチャー教室、「生前遺影撮影会」「山歩き」「キャンプ」といったイベントまで幅広いテーマの講座を企画開催。

こころ豊かなシニアライフとコミュニティ作りを大切に、終活支援に取り組んでいます。

終活カウンセラー1級
エンディングノートセミナー講師養成講座修了(終活カウンセラー協会®)
ITパスポート
フォトマスターEX

- 近況 -
・「JAこすもす佐野」「栃木県シルバー人材センター連合会」「宇都宮市立東図書館」「塩谷町役場」「上三川いきいきプラザ」「JAしおのや」「真岡市役所」「とちのき鶴田様」「とちのき上戸祭様」「栃木リビング新聞社」「グッドライフ住吉」にて終活講座を開催しました
・JAこすもす佐野にて生前遺影撮影会を開催します

終活相談・講座のご依頼はお問い合わせフォームからお願いします。
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終活相続ナビに取材掲載されました
・下野新聞に取材記事が特集掲載されました(ジェンダー特集
・リビングとちぎに取材記事が一面掲載されました(デジタル終活)

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